
「またカフェか…」と思いながら、それでも「人生の楽園」を見てしまう
テレビ朝日系列の人気番組「人生の楽園」は、第二の人生を求めて、地方移住する人たちの物語。毎回幸せそうなご夫婦が登場します。何気なくテレビをつけると、つい見てしまう番組ですね。
けれど、見続けていると、ふとした瞬間に思うのです。
またカフェか~。またパン屋だ。たいてい農業やってるな。民宿?ハードル高っ。
気づけば私は、「テレビ 人生の楽園 カフェ 農業 パン ばかり」と検索していました。
もちろん、これは番組をけなしたいわけではありません。むしろ、嫌いではない。ちゃんと人の人生を丁寧に扱っている、数少ない番組だと思っています。
それでも、「さすがに似た話、多くないか?」、しかも「自分の能力じゃ無理」という気持ちが湧いてくるのも、正直なところです。
なぜ「人生の楽園」は、同じ形になりがちなのか

冷静に考えれば、理由は分かります。
カフェ、パン屋、農業、民宿・・・。
これらは、
・絵になる
・地域振興と相性がいい
・移住支援制度と噛み合う
・人との交流が分かりやすい
つまり、テレビ向きなのです。
番組は商売です。視聴率を取り、スポンサーを納得させ、多くの人が「いい話だな」と思える必要がある。
そう考えれば、「人生の楽園」が最大公約数を狙うのは、ある意味、宿命とも言えます。
GoogleのAI「Gemini」に尋ねても「移住者が「やりがい」と「生活」を両立させるための最も現実的で人気のある選択肢であることを反映しています。」と、おりこうさんな答えが返ってきます。
でも、私のモヤモヤは収まりません。
番組で紹介される人の能力の高さが凄すぎる

それでも、番組を見ながら、どうしても頭をよぎる心の声があります。
……いや、自分には無理なんだが?
紹介される人たちは、とにかくコミュニケーション能力が高いのです。
・地域にすぐ溶け込む
・常連客と軽妙な会話ができる
・多くの人に好かれ支援が集まる
地域にすっと溶け込み、初対面の人とも笑顔で話し、お客さんや近所の人との距離感も絶妙。
「この人たち、田舎じゃなくても、どこに行ったって、ちゃんと楽園を作れる人たちじゃないか?」
悪意ではありません。嫉妬とも、少し違う。
ただ、その“優秀さ”を見せつけられるたびに、自分との差を突きつけられる感覚になるのです。
能力がある人の物語を、凡人が見る現実

多くの視聴者は、毎日、社会に、会社に、生活に、必死でしがみついて生きています。
特別な才能があるわけでもなく、人付き合いが得意なわけでもなく、「まあ、このくらいなら何とか…」という能力ギリギリのラインで、日々を回している。
今の生活に窮屈さを感じているからこそ、「人生の楽園」にチャンネルを合わせるのです。
しかし、そんな状態で見る「人生の楽園」には、憧れるけれど、「自分には無理だ」と思い知らされることにもつながります。
「こんなに有能な人たちなら、そりゃあ、楽園にも行けるよね」
そんな気持ちが、心のどこかで芽を出してしまうのです。
楽園は、有能な人だけのものなのか?

ここで、少しだけ極端な問いを投げてみたくなります。
人生の楽園って、結局のところ、“能力のある人だけが行ける場所”なのだろうか。
人と話すのが苦手な人、IQが低めの人、一生懸命頑張ったとしても取り柄といえるほどの能力が身に付かない人・・・。
そういう人には、楽園は用意されていないのだろうか。
ロックバンド「人間椅子」2019年発表のヒット曲「無情のスキャット」の歌詞が浮かぶ
いずこか仏が御座すのなら
私の元にもお慈悲をくれ
めぼしい物など何ももたず
侘しく寂しく
しくじりばかりのこの私に
そんな、冗談半分、本音半分の祈りが、番組を見ながら浮かんでくることがあります。
結局、テレビは「成功例」を映す。でも、人生はそれだけじゃない

もちろん、番組が紹介している人たちが悪いわけではありません。
むしろ、努力して、選択して、自分の人生を切り拓いた結果なのだと思います。
テレビは、美しい成功例を映します。
でも、人生は成功例だけでできているわけではありません。
成功の手前で踏ん張っている人、静かに耐えている人、派手ではないけれど、なんとか今日をやり過ごしている人。
そういう人たちにも、それぞれの「楽園の形」があっていい。
テレビに映らない「楽園」がきっとある

だからこそ、テレビに映る楽園だけが、答えではないのだと思います。
有能じゃなくてもいい、愛想がよくなくてもいい、誰かに自慢できなくてもいい。
楽園は、誰かに見せるためのものではありません。
番組を見て、ちょっと落ち込んだり、ちょっと卑屈になってしまった人がいたら。
どうか、こう思ってほしい。
「人生の楽園は、有能な人専用のテーマパークじゃない。」
私が、私の能力の範囲内で目指す楽園があるとすれが・・・平屋の公営住宅で、小さな庭を眺めながら日向ぼっこをして、ベランダで七輪を起こし、スルメを焼いてワンカップを飲む・・・嗚呼、そんな静かな暮らしがしたい。
このブログをお読みいただいている皆さんにも、その人なりの静かな楽園は、きっと、どこかにあり、もうちょっと手を伸ばせば、手に入るかもしれません。
気を落とさないで頑張りましょう!
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