市役所や都道府県庁への就職を志望される皆さんは、大卒枠で試験を受けるのでしたら、当然、法律は勉強されているでしょうし、判断推理や論文テーマの研究もされているかと思います。また、社会人として基本的なあいさつ文や説明文を各地からも備わっていることと思います。
そのうえでこの記事では、市役所や都道府県庁に就職してから、こんな能力があれば、人材として重宝されて、自分の得意分野で活躍する可能性が広がりますよ、というお話をさせていただきます。
筆者は、民間企業を経て某市役所勤務。実体験に基づいたリポートをさせていただきます。
なんでも無難にこなせる人は、いろんな部署に異動しまくるリスクがある。
市役所の仕事には、住民登録や税務、福祉や保健衛生、農林水産業、教育・文化、ごみ・環境、選挙・議会、経理・財務、上下水道など多岐にわたっています。
市役所の人事異動のサイクルは、3年~5年が普通です。たとえば、せっかく税金のことに詳しくなったのに、次の異動先が生涯学習担当だったり、5年間も農業の振興に熱意を燃やしてきたのに、次の異動先は国勢調査などの統計業務だったり。
こうなってくると、仕事への熱意の原動力を、どこに求めらた良いのかわからなくなってきます。
なので、特定分野に熱意を燃やす人よりも、法律や制度、前例などに基づき、どんなことでもオールマイティに仕事を「処理」できる人は、とても便利な存在となり、結果として多少な職種を経験することとなり、豊富な経験を評価されて幹部候補生として育っていくのです。
なんでも、器用にこなせる人は、そういう生き方もあるでしょう。
しかし、この記事でお伝えしたいのは、得意分野のある人の市役所での生き方、可能性についてです。
以下より、本題に移ります。
重宝されるスキルその1:チラシ・ポスターなどの作成が上手な人
チラシ・ポスターなどの作成が上手な人は様々な部署で重宝されます。
リサイクル教室、環境セミナー、施設見学会など、市役所の各部署では、小さなイベントや集客行事が無数にあります。
千人規模の大きなイベントとなると、チラシやポスターの類は業者発注となるでしょうが、数十名や百人規模のイベントでは、ほとんどの場合、チラシ等は職員の手作りです。
イラストレーターやフォトショップ、インデザインなどの専門的なソフトは、通常、業務用のパソコンに導入されていません。
なので、マイクロソフトのワードやパワーポイントを使って作成することとなります。
それでも、レイアウトデザインの基礎を知っている人ならば、それなりに作れるはずですね。
アイキャッチがあるか、興味を引くタイトルか、どんな要素を参加動機としてもらうか、詳細を知りたい人はどこを見るか。など、基礎的なデザインスキルのある人にとっては、難しいことではありません。
でも、多くの事務職員は、レイアウトデザインに関しては全くの素人です。
チラシ・ポスター・リーフレット等の作成スキルを持っている人は、イベントが多い部署、プロモーション系の仕事がある部署に配属されやすくなります。
重宝されるスキルその2:エクセルの達人
市役所が扱う仕事には、多くの住民を対象にして様ざまなお金を支給する制度、アンケート調査を集計・分析する仕事、政策を決定するための基礎資料づくりなど、多くの膨大なデータを扱います。
仕事の種類があまりにも多種多様なため、すべての業務に専用の電算システムが備わっているわけではありません。
多くの現場では、職員自らエクセルを駆使してデータを集計・分析し業務に活用しています。
時には、議会や審議会等から求めらて、すぐに分析資料を作らなくてはならないときもあります。
そんな時、エクセルの達人は、関数やピボットテーブルを駆使して、説明に適した分析資料を手早く作るのです。
エクセルが得意な人は、エクセルが苦手で苦しんでいる人を後目に、残業しないで帰宅することができるでしょう。
そんなエクセルの達人は、その能力を生かせる現場に配置される可能性が高いといえましょう。
重宝されるスキルその3:イベントの企画・運営能力・営業能力の高い人
市役所に就職する人といえば、どちらかと言えば、堅実で実直で、尖った行動をとらない慎重な人をイメージします。
確かに、そのような職員が多い組織であるのは事実です。
だからこそ、お祭り気質な人材は貴重です。お祭り気質というと語弊があるかもしれませんが、多少のリスクを恐れず、目標に向かってどんどん前に進む人のことですね。
公金を扱う仕事ですから、リスク回避に重点を置のは、ある程度仕方ありません。
しかし、その体質が、民間のセンスが要求されるイベントの企画・運営や事業者との協働の場面で、足かせとなり、盛り上がりの欠けたものとなったり、挑戦する姿勢を阻んだりします。
そんな場面では、イケイケどんどん気質の突破力が要求されます。けっして無鉄砲ではいけませんが、マイナス要素を全てつぶさないと行動できない職員が多い中で、民間のセンスを持ち合わせている職員は重宝されます。
そのような人材は、産業振興などの分野に配置されやすいといえます。
重宝されるスキルその4:狩猟免許を持っていたり、動植物などに詳しい人
市街地近くへの熊の出没、イノシシやシカなどによる農業被害など、テレビのニュースなどで報じられる際に、市役所職員がインタビューを受けてコメントしているシーンに出くわします。
事務職員がそんな仕事をするの?そうなんです。どんな部署に配属されるか分からないとはいえ、これも市役所の仕事。猟友会の人たちと一緒にパトロールしたり、農家の人に罠(わな)かけの指導をしたり、"にわか専門家"は現場で奔走するのです。
そんな特殊な仕事に適任者がいるとすれば、狩猟免許を持っていたり、山歩きや渓流釣りを趣味にしている人。日ごろから自分の特技はアピールした方が良いです。
人事課(職員課)が悩んだ時には、真っ先に白羽の矢が立つことでしょう。
重宝されるスキルその5:Web、SNS、動画などの扱いが得意な人
昨今の情報発信には、SNSや動画を含むインターネットが不可欠ですが、保守的といわれる行政機関におけるWeb活用といえば、ホームページへの情報掲載が中心で、SNSへの投稿といえばアイキャッチもハッシュタグも工夫なし。
業者発注で製作するプロモーション動画は、身内目線のふるさと自慢のオンパレードで、見る気が失せます。
職員自身も気が付いているのですが、殻を破れないのは、保守的な組織風土のせいです。
今、必要とされているのは、Webの世界を知り尽くしている人。単に利用者ではなく、プロモーションを仕掛ける側としてWebを理解している人が必要です。
そこを、なんとなくであっても理解している幹部が居れば、改革してくれる人材を登用しないわけがありません。
意にそぐわない異動も
得意分野を持っていると、そのスキルを生かせる部署に配属されやすいのは、確かです。
しかし、通常は3年から5年スパンでの異動がつきものの市役所の人事。いくら適任でも、10年以上も同じ仕事をさせてもらえるのは希です。
組織としては、業務が属人的なものになり継続性が保たれない状態にしておくわけにはいきません。
せっかく自分の得意分野で活躍していた達人でしたが、他の仕事もこなせるようにと、修行の場を与えられるのです。
そんな時は、数年間辛抱して、また次の機会が訪れるまで我慢ですね。
スポンサーリンク